「保育園以外で保育士の資格を活かしたい」「保育士の資格があれば、どこで働ける?」。資格を活かせる仕事を紹介する記事は多くありますが、資格が法令で求められているのか、あると役に立つだけなのかは、職場によって違います。このページでは、条文と国の要綱で確かめた範囲で、職場を区分けします。区分は編集部の整理です。
保育士の資格を活かせる仕事を、法令上の要件で分けると?
保育士の資格を活かせる仕事を、法令や国の要綱での扱いで分けると、次のようになります。
| 表1 区分 | 職場 | 法令・要綱での扱い | 根拠 |
|---|---|---|---|
| A 保育士の配置が決まっている | 保育所 | 保育士の数は、乳児おおむね3人につき1人以上など、子どもの年齢ごとに定められている | 児童福祉施設の設備及び運営に関する基準 第33条 |
| A 保育士の配置が決まっている | 児童養護施設 | 児童指導員、嘱託医、保育士などを置く | 同 第42条 |
| B 保育士は認められる資格の一つ | 児童発達支援センター | 児童指導員・保育士・機能訓練担当職員・看護職員の総数の半数以上は、児童指導員又は保育士(全職員を分母にするものではない) | 同 第63条 |
| B 保育士は認められる資格の一つ | 児童発達支援・放課後等デイサービス | 児童指導員又は保育士の合計数で配置が決まる | 指定通所支援の基準 第5条・第66条 |
| B 保育士の割合が決まっている | 小規模保育事業(B型) | 保育従事者のうち半数以上は保育士 | 家庭的保育事業等の基準 第31条 |
| B 保育士の割合が決まっている | 一時預かり事業(一般型) | 担当職員のうち保育士を2分の1以上 | 一時預かり事業実施要綱 |
| B 保育士の割合が決まっている | 企業主導型保育事業 | 保育従事者のうち保育士の割合が定められている(定員や類型で違うため、要綱で確かめる) | 企業主導型保育事業費補助金実施要綱 |
| B 保育士の割合が決まっている | 認可外保育施設(指導監督の対象) | 保育従事者のおおむね3分の1以上は保育士又は看護師 | 認可外保育施設指導監督基準 |
| B 保育士と看護師を置く | 病児保育事業 | 看護師等と保育士を配置(保育士は利用児童おおむね3人につき1名以上) | 病児保育事業に関するFAQ(令和8年3月) |
| C 保育士に研修を足す | 放課後児童クラブ(学童)の放課後児童支援員 | 保育士などの資格に加えて、都道府県等の研修の修了が必要 | 放課後児童健全育成事業の基準 第10条第3項 |
| D 保育士だけでは足りない | 幼保連携型認定こども園の保育教諭 | 原則として幼稚園の教諭の普通免許状と、保育士の登録の両方 | 認定こども園法 第15条 |
| D 保育士だけでは足りない | 幼稚園の教諭 | 教員の免許状が必要 | 教育職員免許法 第3条 |
| E 資格の指定がない | 地域子育て支援拠点(一般型) | 子育ての知識と経験を有する専任の者を配置 | 地域子育て支援拠点事業実施要綱 |
| E 資格の条件は求人ごと | 一般企業(保育・教育関連の会社など) | 法令上の資格の要件はない | — |
出典:児童福祉施設の設備及び運営に関する基準、児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準、家庭的保育事業等の設備及び運営に関する基準、放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準、就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律、教育職員免許法(いずれもe-Gov法令検索の現行版)、こども家庭庁「一時預かり事業実施要綱」「病児保育事業に関するFAQ」「認可外保育施設指導監督基準」「地域子育て支援拠点事業実施要綱」、公益財団法人児童育成協会掲載「企業主導型保育事業費補助金実施要綱」(令和8年度)。取得日:2026年9月27日。
表1の区分は、配置の決まりがあるかどうかを示すもので、求人の数や働きやすさを示すものではありません。同じ区分の職場でも、募集している職種(保育士・児童指導員・補助の職員など)と資格の条件は求人ごとに違うので、応募前に確かめてください。
保育士の資格を活かせる仕事で、誤解されやすい3つの点
保育士の資格を活かせる仕事について、表1から分かる注意点が3つあります。
- 「放課後等デイサービスは保育士が必須」ではありません。 基準の文言は「児童指導員又は保育士」で、保育士はその配置に数えられる資格の一つです。
- 「保育士の資格があれば学童の支援員になれる」わけではありません。 放課後児童支援員は、資格に加えて研修の修了が必要です(次の節)。
- 保育教諭は、保育士の資格だけでは足りない場合があります。 認定こども園法第15条は、原則として幼稚園教諭の普通免許状と保育士の登録の両方を求めています。経過措置の扱いは、この記事では確認していないため、応募先で確かめてください。
保育士の資格を活かせる仕事として、学童で働くには?
保育士の資格を活かせる仕事として学童(放課後児童クラブ)で放課後児童支援員になるには、保育士などの資格に加えて、都道府県・指定都市・中核市が行う研修の修了が必要です。
- 研修の科目と日程は、実施する自治体の案内で確かめてください。
- 保育士の資格を持つ人は、「こどもの発達理解」など一部の科目の免除を受けられる場合があります(免除するかどうかは実施する自治体の判断)。
出典:放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準第10条第3項、こども家庭庁「放課後児童支援員等研修事業実施要綱」(都道府県等認定資格研修)3(3)・3(6)。取得日:2026年9月27日。
学童で働く放課後児童支援員のうち、主な資格が保育士の人は次のとおりです。
| 表2 時点(各年5月1日) | 主な資格が保育士の人 | 放課後児童支援員に占める割合 |
|---|---|---|
| 2023年 | 25,038人 | 23.2% |
| 2024年 | 25,946人 | 23.1% |
| 2025年 | 26,902人 | 22.7% |
出典:こども家庭庁「放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況」令和7年(2025年12月23日公表)p2、令和6年(2024年12月24日公表)、令和5年(2023年12月25日公表)。取得日:2026年9月27日。
※「主な資格」は1人につき1つの資格で数えた集計です。保育士の資格を持つ人の数ではありません。3時点で人数は増えていますが、支援員全体も増えているため、割合は少しずつ下がっています。
保育士の資格を活かせる仕事に応募する前に、確かめること
保育士の資格を活かせる仕事に応募する前に、次の4つを確かめます。
- 募集している職種:保育士として募集しているのか、児童指導員や補助の職員として募集しているのか
- 資格の条件:保育士の資格だけでよいか、研修の修了や別の免許が必要か
- 研修の時期:入職後に研修を受ける場合、いつ・誰の負担で受けるか
- 保育士証:保育士として働くには保育士証の交付を受けている必要があります(保育士証の手続きの分岐表)
保育園から別の職種に移るかどうかを考えている段階なら、保育士を辞めたいときの相談先の記事で、続ける・園を変える・仕事を変えるを分けて整理できます。保育園以外の求人も扱う転職エージェントは、保育士の転職エージェントの比較で対応する職種・地域を確かめてください。
保育士の資格を活かせる仕事について、この記事では分からないこと
保育士の資格を活かせる仕事について、この記事で答えられないことを書いておきます。
- それぞれの職場の求人の多さや給料: 施設の種類別に比べられる統計を、今回は確認していません。
- 乳児院・障害児入所施設・病院などの個別の要件: 表1に載せていない職場は、条文や要綱を確かめていないため載せていません。
- 保育教諭の経過措置の期限: 今回は条文で確認していません。
- 研修の免除科目や日程: 実施する自治体によって違います。
保育士の資格を活かせる仕事でよくある質問
保育士の資格があれば、学童(放課後児童クラブ)で働けますか?
放課後児童支援員になるには、保育士などの資格に加えて、都道府県などが行う研修の修了が必要です(放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準第10条第3項)。研修の科目と日程は、実施する都道府県などの案内で確かめてください。保育士の資格を持つ人は、一部の科目の免除を受けられる場合があります。
放課後等デイサービスや児童発達支援は、保育士が必須ですか?
基準では「児童指導員又は保育士」の合計数で配置が決まっており、保育士だけが必須というわけではありません。保育士の資格は、その配置に数えられる資格の一つです。
保育士の資格で、認定こども園の保育教諭になれますか?
幼保連携型認定こども園の保育教諭は、原則として幼稚園の教諭の普通免許状を持ち、かつ保育士の登録を受けた人とされています(認定こども園法第15条)。保育士の資格だけでは足りない場合があるため、経過措置も含めて応募先に確かめてください。
企業内保育所(企業主導型保育)では、保育士でなくても働けますか?
企業主導型保育事業の実施要綱では、保育従事者のうち保育士の割合が定められています(定員や類型によって違うため、具体的な割合は要綱で確かめてください)。保育士以外の職員も配置されうるため、募集の職種と資格の条件は求人ごとに確かめてください。
学童で働く人のうち、保育士はどのくらいいますか?
こども家庭庁の調査では、2025年5月1日時点の放課後児童支援員のうち、主な資格が保育士の人は26,902人(22.7%)でした。2023年は25,038人(23.2%)、2024年は25,946人(23.1%)です。
更新履歴
2026年9月27日:児童福祉施設の設備及び運営に関する基準、指定通所支援の基準、家庭的保育事業等の基準、放課後児童健全育成事業の基準、こども家庭庁・企業主導型保育の要綱と実施状況を確認して新規作成。職場を資格の要件で分けた表と、放課後児童支援員の資格の状況(3時点)を掲載。 2026年9月29日:題名を「問いと答え」の形にし、冒頭の答えを短くした(前の答えと根拠は「根拠と補足」に移した)。 2026年9月30日:監査の指摘に対応(指摘 LAW-02 を修正。公表日を確認できない資料に基づく数字 6件を外すか、公表日のある資料に付け替え)。修正箇所の一次資料を照合。出典ごとの取得日は変えていない。
