「もう辞めたい」と思ったとき、すぐに退職か継続かを決める必要はありません。このページでは、辞めたい理由を分けて、それぞれの相談先ができることを確かめ、続ける・園を変える・仕事を変えるの判断につなげます。相談先の役割表と記録メモは編集部の整理です。
保育士を辞めたいと思う理由は?調査で多い理由
保育士を辞めたいと思う理由では、給与、業務量、1人当たりの負担が上位に挙がっています。実際に辞めた人の理由では、人間関係・ハラスメントが最も多い回答でした。
| 表1 調査の対象 | 上位の理由(複数回答) |
|---|---|
| 今後は保育士を辞めたいと答えた現役の保育士等(n=3,065)が、今の園を退職したい理由 | 給与がよくないため 25.2%/業務量が多く大変なため 25.2%/保育士1人当たりの負担が大きいため 22.1% |
| 保育士として働いた後に離職した人(n=1,251)が、過去の園を退職した理由 | 職場内の人間関係・ハラスメント 19.8%/結婚のため 18.7%/健康上の理由(体力含む)のため 16.4% |
出典:三菱UFJリサーチ&コンサルティング「保育士等の意識及び業務負担軽減に関する調査研究 報告書」(令和7年度子ども・子育て支援等推進調査研究事業)第2章p5、図表3-149(p186)、図表4-27(p247)。調査期間2025年12月25日〜2026年1月26日。報告書は2026年3月、公表日は2026年4月23日。取得日:2026年9月27日。
※上段は、全国の保育所等を通じたWeb中心の調査(保育士票の有効回収16,902件)のうち、今後は保育士を辞めたいと答えた人の回答です。同じ調査で「今後も保育士として働き続けたい」は80.1%、「今後は保育士を辞め、保育士以外の職種で働きたい」は17.2%でした(n=15,501)。下段は、インターネット調査会社のモニターと、保育士・保育所支援センターの登録者に行った調査の回答です。どちらも無作為に選んだ調査ではなく、全国の保育士の割合を推計したものではありません。
上段と下段は、対象者も質問も違います。そのため「辞めたい理由と実際に辞めた理由が違う」と比べることはせず、それぞれを自分の理由を整理する手がかりとして使ってください。
保育士を辞めたいのは、今の職場?保育の仕事そのもの?
保育士を辞めたい理由は、今の職場を変えれば軽くなりそうなものと、保育の仕事そのものに関わるものに分けると、次に相談する相手が決めやすくなります。
| 表2 困っていることの例 | 今の職場で変えられるか確かめること | 次の職場で確かめること |
|---|---|---|
| 給与が見合わない | 基本給・手当・処遇改善分の内訳と、昇給の条件 | 同じ内訳で比べた提示条件 |
| 業務量・1人当たりの負担が大きい | 担当クラス、書類・行事の分担、残業の記録方法 | 配置の考え方、事務の時間、残業の実績 |
| 人間関係・ハラスメント | 園内外の相談窓口、当事者を避けた相談ルート | 相談体制、職員の分担の決め方 |
| 体力・健康が心配 | 勤務時間・シフト・担当の変更ができるか | 勤務時間の選択肢、雇用形態 |
| 保育の仕事自体が合わない | —(職場を変えても続く可能性がある) | 保育以外の仕事も含めて、何を変えたいか |
この表は編集部が作った整理用の例です。調査の上位の理由を並べたもので、あなたの職場の状況を判定するものではありません。給与の内訳は保育士の給料の照合表、残業の記録は保育士の残業の記事、人間関係の記録は保育士の人間関係の記事で詳しく扱っています。
保育士を辞めたいとき、どこに相談できる?窓口ごとの役割
保育士を辞めたいときの相談先は、変えたいことによって違います。次の表は、公的な資料で役割を確かめた7つの相談先について、できることと、相談しても決まらないことを並べたものです。
| 表3 相談先 | できること(資料で確認した範囲) | 相談しても決まらないこと |
|---|---|---|
| 勤務先(園長・主任・法人の人事、園の相談窓口) | 担当や勤務、業務の分担などの調整を相談する | 希望どおりの配置や勤務の変更 |
| 市町村の保育士向けの相談窓口 | 人間関係や労働条件などの相談支援。国の補助の対象で、設置は自治体の判断 | 自分の地域に窓口があるかどうか(ない地域もある) |
| 保育士・保育所支援センター(都道府県など) | 職業紹介、研修、保育所の設置者への勤労環境の助言など。支援内容はセンターごとに異なる | 職場のトラブルの解決。個別の園への対応の結果 |
| 総合労働相談コーナー(都道府県労働局など) | 労働条件、いじめ・嫌がらせなどの相談を無料・予約不要で受け付け、法令違反の疑いがあれば担当部署に取り次ぐ | 違法かどうかの最終判断や、問題の解決 |
| 労働基準監督署 | 賃金、労働時間などの法令違反についての相談 | あなたと園のあいだの話し合いの代行 |
| ハローワーク | 求人・求職の相談の窓口の一つとして、こども家庭庁が連絡先を案内 | 採用や希望条件の実現 |
| 民間の転職サービス(職業紹介) | 求人の紹介、応募先への条件の確認など。内容は各社の案内で確かめる | 採用、今の職場の問題の解決 |
出典:児童福祉法第18条の24(保育士・保育所支援センター)、こども家庭庁「保育士・保育所支援センターやハローワークなどの連絡先」(連絡先PDFは令和8年4月現在)、同「保育現場におけるハラスメント対策について」(2026年3月25日事務連絡)p2、同 令和8年度予算案の保育人材の確保に関する資料p1〜3、厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」「個別労働紛争解決制度」「労働基準行政の相談窓口」。取得日:2026年9月27日。いずれもページ上で公表日を確認できていないため、制度の説明にだけ使い、窓口の数などの数字は載せていません。
表3で注意したい点が3つあります。
- 市町村の窓口は、どこにでもあるわけではありません。 こども家庭庁の資料は、市町村が心理職や社会保険労務士などを配置して相談支援を行う体制を整えることが「考えられる」と書いており、国の補助の対象になっています。自分の市区町村の保育担当課で、窓口があるかを確かめてください。
- 支援センターは、職場のトラブルを解決する窓口ではありません。 法律に書かれた業務は、職業紹介や研修、保育所の設置者への勤労環境の助言などです。こども家庭庁の連絡先一覧には、支援の内容はセンターごとに異なるので個別に相談するよう注記があります。
- 総合労働相談コーナーのあっせんは、合意を強制しません。 厚生労働省は、あっせん案について、その受諾を強制するものではないと説明しています。労働者同士のトラブルなど、あっせんの対象にならないものもあります。
保育士を辞めたい相談の後に残すメモ
相談の後は、次の5つを書き残しておくと、同じ説明を繰り返さずに次の相談に進めます。
- 相談した目的:職場の調整/制度・手続きの確認/次の仕事探し
- 相談した相手と日付
- 相手ができると言ったこと、できないと言ったこと
- 追加で必要な書類や情報
- 回答待ちのことと、次に確かめる日
このメモは相談を整理するためのものです。項目の数で、職場や退職の必要性を採点するものではありません。
保育士を辞めたいとき、続ける・園を変える・仕事を変えるはどう選ぶ?
保育士を辞めたい気持ちがあっても、選べる道は3つあります。どれを選ぶかは、表2で分けた理由と、表3の相談先から得た回答で決めます。
- 今の職場で続ける: 勤務先に調整を頼んだ場合は、誰から、いつ回答があるかを確かめます。回答が来ない、変わらないという場合は、次の2つを考える材料になります。
- 別の園に移る: 今困っていることを、次の求人で確かめる質問に置き換えます。業務量なら事務の時間と残業の実績、人間関係なら相談体制、というように聞きます。
- 保育以外の仕事に移る: 保育の仕事から離れることで、何を変えたいのかを書き出します。給与なら提示条件の内訳、体力なら勤務時間と仕事内容を確かめます。
別の園を探すと決めた段階で、相談先の候補として転職サービスを考える人もいるでしょう。転職サービスは、希望する地域・資格・働き方に対応しているかを先に確かめてから選びます。保育士の転職エージェントの比較で、地域・資格・働き方と支援の内容を比べられます。今の職場のトラブルの相談先とは、役割を分けて使ってください。
転職先を決める前に退職する場合は、次の収入までの生活費と、自分が使える制度の条件も確かめてください。雇用保険の給付の対象や日数は、この記事では判定していません。
保育士を辞めたいと決めたら、退職の前に確かめる書類は?
保育士を辞めたいと決めたら、労働条件通知書(契約書)と就業規則で、契約期間の定めと退職に関する記載を確かめます。厚生労働省は、労働契約の終わり方を、合意による退職、労働者からの一方的な退職、契約期間の満了などに分けて説明しています(確かめよう労働条件「退職、解雇、雇止めなど」)。
契約期間の定めがあるかないかで扱いが変わるため、「保育士なら誰でも○日前に言えば辞められる」とは言えません。年度の途中で辞めたい場合の確かめ方は、保育士の年度途中の退職の記事で、契約期間の欄から順に整理しています。公立の園で地方公務員として働く場合は、別の定めがあります。
保育士を辞めたいとき、この記事では分からないこと
保育士を辞めたいときに、この記事で答えられないことを書いておきます。
- あなたが辞めるべきかどうか: 表2・表3は整理のための例で、判断はあなたの状況と、相談先からの回答で決まります。
- あなたの地域にある窓口と、その受付時間: 市町村の窓口の有無や、支援センターの支援内容は地域ごとに違います。
- 退職できる日や、雇用保険の給付の条件: 契約の内容や個別の事情で変わります。
- 体調についての助言: 心身の不調がある場合は、医療機関などの専門家に相談してください。
保育士を辞めたいときのよくある質問
保育士を辞めたいと思うのは、甘えですか?
この記事では、気持ちの良し悪しを判断しません。調査では、保育士を辞めたい人が今の園を退職したい理由として、給与や業務量、1人当たりの負担が上位に挙がっています。何を変えたいのかを書き出し、相談先を選ぶところから始めてください。
辞めたい気持ちを、まず誰に相談すればよいですか?
変えたいことで分けます。担当や勤務の調整なら勤務先、労働条件やいじめ・嫌がらせなどのトラブルなら総合労働相談コーナー、保育の仕事を続けながら職場を探すなら保育士・保育所支援センターやハローワーク、転職サービスが候補です。窓口ごとにできることが違います。
総合労働相談コーナーに相談すれば、職場の問題は解決しますか?
解決を約束するものではありません。相談は無料・予約不要で受け付けられ、法令違反の疑いがあれば担当部署に取り次がれます。あっせんの制度も、相手に合意を強制するものではないと厚生労働省は説明しています。
年度の途中でも保育士を辞められますか?
契約期間の定めがあるかないかなどで扱いが変わるため、一律には言えません。労働条件通知書や就業規則を確かめる手順を、年度途中の退職の記事で整理しています。
保育士を辞めた後の仕事は、どう考えればよいですか?
保育の仕事そのものを離れたいのか、今の職場の条件を変えたいのかで、次に確かめることが違います。別の園を探すなら、今困っていることを次の求人で確かめる質問に置き換えましょう。
更新履歴
2026年9月27日:こども家庭庁補助事業の調査研究(2026年4月公表)の退職理由、児童福祉法の保育士・保育所支援センター、厚生労働省の相談制度を実読して新規作成。7つの相談先の役割表と、相談後の記録メモを掲載。 2026年9月29日:題名を「問いと答え」の形にし、冒頭の答えを短くした(前の答えと根拠は「根拠と補足」に移した)。
