「派遣会社がたくさんあって、どこがいいのか分からない」。保育士の派遣会社を比べる記事の多くは、会社名のランキングです。このページでは、会社の順位はつけず、どの派遣会社にも公開が求められている情報で比べる方法と、派遣で働くときに知っておきたいルールを公的資料で整理します。表は編集部の整理です。
保育士の派遣会社は、どの情報で比較できる?公開が求められている情報
保育士の派遣会社は、法律で公開が求められている項目で比較できます。派遣会社(派遣元事業主)は、事業所ごとに、インターネットの利用その他の適切な方法でこれらの情報を提供することとされています。
| 表1 項目 | 読むときの注意 | 登録の面談で聞き直すこと |
|---|---|---|
| 派遣労働者の数 | 事業所ごとの値。会社全体の値ではない | 保育の仕事で派遣している人はどのくらいか |
| 派遣先の数 | 保育施設以外の派遣先も含まれうる | 保育施設の派遣先はどの地域にあるか |
| 派遣料金の平均額 | 職種をまとめた平均のことが多い | 保育士の仕事の派遣料金はどのくらいか |
| 派遣労働者の賃金の平均額 | 同上 | 自分に提示される時給と、その内訳 |
| マージン率 | 低いほどよいとは限らない。社会保険料や教育訓練の費用も含まれる | マージンに何が含まれているか |
| 労使協定の締結状況 | 待遇の決め方(労使協定方式か、派遣先均等・均衡方式か)に関わる | 自分はどちらの方式で待遇が決まるか |
| キャリア形成支援(教育訓練) | 費用の負担や、受講が有給かを確かめる | 保育の仕事に関わる研修があるか |
| その他 | 事業所が任意に載せる情報 | — |
出典:労働者派遣法第23条第5項、同法施行規則第18条の2、厚生労働省「派遣会社のマージン率等について」、同「人材サービス総合サイトを積極的にご活用ください!」。取得日:2026年9月27日。
※表は、法令が定める公開の項目を、編集部が読み比べやすいように行にまとめたものです。行の数は、法令の号の数とは一致しません。
これらの情報は、厚生労働省の人材サービス総合サイトの派遣事業所の詳細でも確かめられます。事業所ごとに値と時点が表示されますが、空欄の事業所や、別のページに掲載している事業所もあります。当サイトは、会社ごとの数値や順位を載せていません。
保育士の派遣の時給は、どのくらい?比較に使える公的な値
保育士の派遣の料金や賃金について、保育士だけの公的な値は見つかりませんでした。近い区分として、厚生労働省の労働者派遣事業報告書の集計結果に「社会福祉専門職業従事者」の値があります。
| 表2 年度 | 派遣料金(1人1日8時間あたり) | 賃金(1人1日8時間あたり) |
|---|---|---|
| 令和4年度 | 16,592円 | 11,074円 |
| 令和5年度 | 16,782円 | 11,233円 |
| 令和6年度 | 17,413円 | 11,593円 |
出典:厚生労働省「令和6年度 労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)」(2026年3月31日公表)、「令和5年度 同(速報)」(2025年3月31日公表)の表6・表7「社会福祉専門職業従事者」の行。取得日:2026年9月27日。
※社会福祉専門職業従事者は、保育士だけでなく介護などの専門職を含む区分です。値は、各事業所が報告した平均を集計したもので、派遣料金は消費税込みです。料金と賃金の差から、保育士の派遣のマージン率を計算することはできません。掲載した3時点の値は順に大きくなっていますが、事業所の顔ぶれは毎年同じではありません。
自分に提示される時給は、勤務地・時間帯・経験などで変わります。表1の「自分に提示される時給と、その内訳」を登録の面談で確かめてください。給与の内訳の比べ方は保育士の給料の照合表にあります。
保育士の派遣会社を比較するとき、受け取る書面は?
保育士の派遣会社を比較するときは、登録から就業までに受け取る説明と書面がそろっているかも見ます。厚生労働省の資料では、主に次の時点で説明や明示があります。
| 表3 時点 | 主な説明・明示の内容 |
|---|---|
| 雇い入れる前 | 賃金の見込み、待遇の決め方などの説明 |
| 雇い入れるとき | 昇給・退職手当・賞与の有無、労使協定の対象かどうか、派遣料金の額など。2026年10月1日からは、待遇の違いの内容と理由の説明を求められることも示される |
| 派遣が始まるとき | 業務の内容、就業場所、指揮命令者、派遣の期間、就業時間、休憩など(就業条件の明示)。派遣を受けられる期間が切れる日(抵触日) |
| 本人が求めたとき | 比べる相手の正社員などとの待遇の違いの内容と理由の説明。求めたことを理由とする不利益な取扱いは禁止 |
| 同じ職場で3年働く見込みのとき | 雇用安定措置(派遣先への直接雇用の依頼など) |
出典:厚生労働省「派遣で働くときに特に知っておきたいこと」、同「派遣労働者の同一労働同一賃金について 改正ポイントのご案内」(2026年10月1日施行分)、労働者派遣法。取得日:2026年9月27日。
書面を受け取ったら、求人や面談で聞いた内容と照らし合わせます。照合の手順は保育士の転職で失敗しないための照合表にあります。
保育士の派遣を比較するとき、園の現場で起きやすい場面は?
保育士の派遣で働くときは、園の現場で次のような場面があります。どれも、派遣会社を比較するときに担当者に確かめておきたい点です。
- 事前の面接: 派遣先の園が、派遣で働く人を事前に面接して選ぶことは、紹介予定派遣を除いて原則として認められていません。本人が自分の判断で就業前に職場を訪問することはできるとされています(派遣先指針)。
- 1日だけ・短期の派遣: 30日以内の日雇派遣は原則として禁止されています。例外として認められるのは、60歳以上の人など法令で定められた場合です(労働者派遣法第35条の4、同施行令)。
- 同じ園で3年: 派遣先の事業所単位と、個人単位の期間の制限があります。産休・育休の代わりの派遣などは期間制限の対象外です(労働者派遣法第40条の2、第40条の3)。3年たてば必ず直接雇用されるわけではありません。
- 前に勤めていた園: 離職した職場に、離職後1年以内に派遣労働者として働くことはできません(60歳以上の定年退職者などの例外あり。労働者派遣法第40条の9、同施行規則第33条の10)。
- 紹介予定派遣: 派遣の期間のあとに直接雇用を前提とする働き方で、同じ人を派遣できる期間には上限が定められています(派遣元指針。期間は指針の本文で確かめてください)。
- 処遇改善: こども家庭庁のFAQは、派遣労働者を処遇改善の対象とすることができ、その場合は派遣元を通じて賃金改善が確実に行われることを確認する必要があるとしています(処遇改善等加算に関するFAQ 問31)。
出典:厚生労働省「派遣先が講ずべき措置に関する指針」「派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針」、同「派遣で働くときに特に知っておきたいこと」、労働者派遣法施行令。取得日:2026年9月27日。
※「派遣なら残業や持ち帰りがない」とは言えません。働き方は派遣先の園と就業条件によります。
保育士の派遣と、ほかの働き方を比較するなら?
保育士の派遣は、雇用主が派遣会社で、働く場所が派遣先の園になる働き方です。正社員やパートとして直接雇用される場合と、紹介を受けて転職する場合とでは、相談する相手も書面も違います。
紹介(職業紹介)を受けて園に直接雇用されるか、派遣で働くかを比べたい場合は、保育士の転職エージェントの比較で、紹介と派遣の両方を扱うサービスを含めて確かめてください。休みの取り方や残業の実績は、休みの記事と残業の記事の質問が派遣の就業条件の確認にも使えます。
保育士の派遣会社の比較について、この記事では分からないこと
保育士の派遣会社の比較について、この記事で答えられないことを書いておきます。
- どの派遣会社がよいか: 会社ごとの数値や順位は載せていません。
- 保育士だけの派遣の時給の平均: 公的な値が見つかっていません。
- 公立の園に派遣された場合の扱い: 国・地方公共団体の機関には別の定めがあり、この記事では確認していません。
- 2026年10月1日施行の改正後の条文の細部: 厚生労働省の案内で確認した範囲で書いています。
保育士の派遣会社の比較でよくある質問
保育士の派遣会社は、何で比べればよいですか?
派遣会社には、派遣労働者の数、派遣料金の平均額、賃金の平均額、マージン率、教育訓練などの情報を、事業所ごとにインターネットなどで提供することが求められています。厚生労働省の人材サービス総合サイトでも確かめられます。希望する地域を担当する事業所の値かどうかも確かめてください。
マージン率が低い派遣会社のほうがよいですか?
一概には言えません。厚生労働省は、マージン率は低いほどよいというわけではないとしています。マージンには社会保険料や教育訓練の費用なども含まれるため、教育訓練の内容などとあわせて見てください。
派遣で働く前に、園の見学や面接はありますか?
派遣先の園が、派遣で働く人を事前に面接して選ぶことは、紹介予定派遣を除いて、原則として認められていません。ただし、本人が自分の判断で就業前に職場を訪問することはできるとされています。
同じ園で派遣として何年働けますか?
派遣先が同じ事業所で派遣を受けられる期間は原則3年で、個人単位の期間の制限もあります。産休・育休の代わりの派遣などは期間制限の対象外です。3年たてば必ず直接雇用されるわけではなく、派遣会社が講じる雇用安定措置の一つとして直接雇用の依頼があります。
派遣で働く保育士も、処遇改善の対象になりますか?
こども家庭庁のFAQは、派遣労働者も対象とすることができるとし、その場合は派遣元を通じて賃金改善が確実に行われることを確認する必要があるとしています。必ず対象になるわけではないので、派遣会社と派遣先に確かめてください。
更新履歴
2026年9月27日:労働者派遣法・同施行令・施行規則、派遣元・派遣先の指針、厚生労働省のマージン率等の案内と人材サービス総合サイト、労働者派遣事業報告書の集計結果、こども家庭庁の処遇改善FAQを確認して新規作成。公開情報の読み方表と、書面の時系列表を掲載。 2026年9月29日:題名を「問いと答え」の形にし、冒頭の答えを短くした(前の答えと根拠は「根拠と補足」に移した)。 2026年9月30日:監査の指摘に対応(指摘 LAW-12 を修正。公表日を確認できない資料に基づく数字 3件を外すか、公表日のある資料に付け替え)。修正箇所の一次資料を照合。出典ごとの取得日は変えていない。
