「保育の仕事は好きだけれど、別の仕事もしてみたい」「このまま続ける自信がない」。そう考えたとき、すぐに退職を決める必要はありません。このページでは、保育士以外の仕事へ移りたいと考えた人が、辞める前に確かめられる公的な数字と制度をまとめます。辞めることも、続けることも勧めていません。表2は編集部の整理です。

保育士以外へ転職したい保育士は、どれくらいいる?

保育士以外へ転職したいと考える保育士は、東京都の調査では、働いている保育士のおよそ5人に1人です。雇用形態と年代で、割合に差があります。

表1 たずねた相手(いま保育士として働いている人)「今後は保育士を辞め、保育士以外の職種で働きたい」
全体(n=11,277)19.4%
正規職員(n=6,989)23.2%
有期契約職員・フルタイム(n=751)17.4%
有期契約職員・パートタイム(n=3,537)12.2%
女性20代(n=3,799)27.8%
女性30代(n=2,266)20.9%
女性40代(n=2,254)13.9%
女性50代以上(n=2,429)9.3%
男性20代(n=241)30.3%
男性30代以上(n=269)15.6%

出典:東京都福祉局「令和4年度東京都保育士実態調査結果(報告書)」の「調査結果の詳細」(27)保育士就業継続の意向。質問は「あなたは、今後も保育士として働き続けたいと思っていますか」で、答えは1つだけ選ぶ形。調査の対象は、2017年4月から2022年3月までの東京都保育士登録者等52,856人(有効回収数18,239件、有効回収率39.7%)。調査の実施は2022年7月25日〜8月14日。ページの更新日は2023年4月13日。取得日:2026年10月11日。

同じ調査の、ほかの質問も見ておきます。どちらも、当てはまるものをいくつでも選ぶ質問です。

  • 退職を考えている人の理由: 「他業種への興味」を選んだ人は28.9%でした(n=2,399)。いちばん多い理由は「給料が安い」61.6%です。
  • 実際に保育士を辞めた人の理由: 「他業種への興味」を選んだ人は15.3%でした(n=2,241)。いちばん多い理由は「職場の人間関係」31.5%です。

表1と上の数字を読むときの注意があります。

  • 希望と、実際の転職は別です。 表1は、これからどうしたいかをたずねた結果です。このうち何人が実際に別の仕事に就いたかは、この調査では分かりません。
  • 東京都の調査です。 東京都に保育士登録をした人が対象で、全国の割合ではありません。
  • 人数が少ない区分があります。 男性は回答者が少ないので、割合は目安として見てください。

保育士以外への転職は、資格を使う仕事と使わない仕事に分ける

保育士以外への転職は、保育士の資格を使い続けるかどうかで、準備が大きく変わります。「保育園では働きたくない」のか、「子どもに関わる仕事から離れたい」のかを、先に分けておきます。

表2 行き先どんな仕事か先に確かめること
保育士の資格を使う、保育園以外の職場法令や国の要綱で、保育士の配置が決まっている職場(学童、児童発達支援など)職場ごとの要件と、追加の研修が要るか。保育士資格を活かせる仕事の表
保育士に近い、別の職業国の職業情報提供サイトで、保育士に「類似する職業」として挙がっているのは、幼稚園教員と児童指導員その職業に必要な免許や要件。保育士の資格だけでは就けない場合がある
保育士の資格を使わない仕事一般の会社の仕事など求人票の応募条件。必要な知識や技能を、どこで身につけるか(訓練と給付)

厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)では、職業ごとに、仕事の内容、就くために必要なこと、賃金などの統計を調べられます。気になる職業があれば、保育士のページと並べて読むと、仕事の中身の違いが分かります。保育士のページには、資格を持つ人は児童館などの児童厚生員にも就けることが書かれています。

出典:厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)「保育士」の「就業するには?」「類似する職業」。取得日:2026年10月11日。表2の3つの分け方は、編集部の整理です。

仕事を変えたい理由が、いまの園の条件(人間関係、仕事量、休み)にあるときは、園を変えると状況が変わることもあります。理由の分け方は、保育士に向いてないと感じたときの表と保育士を辞めたいときの整理にまとめています。

保育士以外へ転職した人は、そのあとどうしている?

保育士以外へ転職した人がどんな職種に就いたかを示す公的な統計は、見つかりませんでした。東京都の調査で分かるのは、保育士を辞めた人のうち、いま働いている人と働いていない人の数です。

  • いまの就業状況: 過去に保育士として働いたことがあり、いまは保育士をしていない人のうち、保育士以外の職種で働いている人は1,247人、働いていない人は994人でした。人数から計算すると、保育士以外の職種で働いている人は約56%です(割合は編集部の計算)。
  • 保育士に戻る気持ち: 同じ人たち(n=2,241)に、復職する場合の希望条件をたずねた質問で、「どのような条件があっても保育士として働くつもりはない」を選んだ人は3.8%でした(複数回答)。
  • 東京都内で働く意向: 「雇用の条件さえ合えば、働きたい又は保育の仕事に転職したい」と答えた人は59.0%でした(n=2,156)。

出典:東京都福祉局「令和4年度東京都保育士実態調査結果(報告書)」の「調査結果の詳細」の現在の就業状況(BQ4)、復職する場合の希望条件(BQ11)、都内における保育士復職意向(BQ12)。取得日:2026年10月11日。

この数字から言えるのは、保育士を辞めた人の多くが、条件しだいで保育の仕事に戻ることも考えている、というところまでです。別の仕事に移って満足しているかどうかは、この調査では分かりません。59.0%は「東京都内で」働きたいかをたずねた質問なので、残りの人が保育士に戻らないという意味でもありません。

保育士以外への転職で使える、公的な訓練と給付は?

保育士以外への転職では、新しい仕事に必要な知識や技能を、公的な制度を使って身につけられます。制度は3つあり、雇用保険に入っていたかどうかで、使えるものが変わります。

表3 制度主な対象内容気をつけること
公共職業訓練(離職者訓練)主に、雇用保険を受給している求職者受講料は無料(テキスト代などは自己負担)。期間はおおむね3か月〜2年申し込みと相談はハローワーク。在職者向けの訓練は別で、原則有料
求職者支援訓練主に、雇用保険を受給できない求職者無料の訓練(2か月〜6か月。テキスト代などは自己負担)。条件を満たすと月10万円の給付金給付金には、本人の収入が月8万円以下、世帯全体の収入が月30万円以下などの条件がある。訓練には選考がある
教育訓練給付雇用保険に入っていた期間が原則3年以上の人(初めての人は1年以上。専門実践教育訓練は2年以上)指定された講座の費用の一部が戻る。一般 20%(上限10万円)、特定一般 40%(上限20万円)、専門実践 50%(年間上限40万円)在職中でも使える。離職後は、原則1年以内に受講を始める。特定一般と専門実践は、受講開始の2週間前までにハローワークで手続きが要る

出典:厚生労働省「ハロートレーニング」「求職者支援制度のご案内」「教育訓練給付金」、ハローワークインターネットサービス「教育訓練給付金」。取得日:2026年10月11日。

表3を読むときの注意が3つあります。

  • 「無料」と「月10万円」は、だれにでも当てはまるものではありません。 月10万円の給付金は、雇用保険を受給できない人のための制度です。雇用保険を受給できる人は、公共職業訓練を受けながら、基本手当などを受ける形になります。
  • 教育訓練給付の率は、条件で変わります。 特定一般と専門実践には、資格を取って就職した場合などの上乗せがあります。表の率は、2024年10月以降に始まる講座の、上乗せの前の値です。対象は、国が指定した講座だけです。
  • 辞めたあとでは、間に合わない手続きがあります。 教育訓練給付は、離職してから受講を始めるまでの期間に決まりがあります。使いたい制度があるときは、退職の日を決める前に、ハローワークで自分の条件を確かめてください。

退職の手続きと、雇用保険・健康保険・年金の切り替えは、保育士の転職の進め方にまとめています。

保育士以外へ転職しても、保育士の資格は残る?

保育士以外へ転職しても、保育士の資格は残ります。保育士の登録に、有効期限や更新の手続きはありません。

保育士の登録の事務を行う登録事務処理センターは、「何年かおきに登録の更新をする必要がありますか」という質問に、次のように答えています。

  • 一度保育士登録を受け、保育士証が交付されれば、その後更新を行う必要はなく、全国どこででも保育士として働くことができる。
  • ただし、氏名や本籍地の都道府県が変わったときは書換えの手続き、保育士証をなくしたときは再交付の手続きが要る。

資格を取っただけで、まだ登録をしていない人も、登録をしなかったことで資格を失うことはありません。保育士として働くときに、登録をして保育士証の交付を受ける必要があります(児童福祉法第18条の18)。

つまり、別の仕事に移ったあとで保育の仕事に戻る道は、制度のうえでは閉じません。戻るときの手続きと、ブランクがある人向けの研修や貸付は、保育士のブランクが不安なときの復職準備で確かめられます。

出典:登録事務処理センター「登録に関するQ&A」、児童福祉法第18条の18(e-Gov法令検索)。取得日:2026年10月11日。

保育士以外への転職は、どこに相談できる?

保育士以外への転職は、公的な窓口で、無料で相談できます。行き先がまだ決まっていない段階でも使えます。

  • ハローワーク: 仕事を探す人に、職業相談や求人の提供を無償で行う国の機関です。職業訓練の申し込みと、教育訓練給付の手続きの窓口でもあります。受付で「訓練の相談を受けたい」と伝えると案内を受けられます。
  • キャリア形成・リスキリング支援センター: 厚生労働省の事業で、働いている人と仕事を探している人が、キャリアコンサルティングを無料で受けられます。1回60分で、対面かオンラインです。全国47か所のセンターと、ハローワークの中の相談コーナーで受けられます。仕事の紹介はしていません。
  • 職業情報提供サイト(job tag): 気になる職業の仕事の内容や、必要な資格を、自分で調べられます。

保育の仕事を続けながら園を変える場合は、保育士の転職エージェントの比較で、相談先の違いを確かめられます。この記事で比べている転職エージェントは、保育の仕事を扱う窓口です。保育士以外の仕事を探すときの窓口とは別です。

出典:厚生労働省「ハローワーク」、キャリア形成・リスキリング支援センター「個人の方へ」。取得日:2026年10月11日。

保育士以外への転職について、この記事では分からないこと

  • どの仕事が向いているか: この記事は、職業の向き・不向きを判定しません。
  • 保育士以外へ転職した人が、どんな職種に就いたか: 東京都の調査に、職種をたずねた質問はありませんでした。全国の統計も、探した範囲では見つかりませんでした。
  • 転職して、給料や働き方がどう変わるか: 行き先の仕事で違うため、載せていません。
  • あなたが訓練や給付を使えるかどうか: 雇用保険の加入期間や収入で変わります。ハローワークで確かめてください。
  • 全国の割合: 表1は東京都の調査です。

保育士以外への転職でよくある質問

保育士以外の仕事に転職したい保育士は、どれくらいいますか?

東京都の調査(2022年実施)では、いま保育士として働いている人の19.4%が「今後は保育士を辞め、保育士以外の職種で働きたい」と答えています(n=11,277)。正規職員では23.2%、20代では女性27.8%、男性30.3%でした。これは希望をたずねた結果で、実際に転職した人の割合ではありません。

保育士を辞めて別の仕事に就くと、保育士の資格はなくなりますか?

なくなりません。保育士の登録に更新はなく、登録事務処理センターは「一度保育士登録を受け、保育士証が交付されれば、その後更新を行う必要はなく、全国どこででも保育士として働くことができます」と案内しています。氏名や本籍地が変わったときは、書換えの手続きが要ります。

保育士以外の仕事に就くための勉強に、公的な支援はありますか?

あります。ハローワークで申し込む公的な職業訓練(ハロートレーニング)は、受講料が無料です(テキスト代などは自己負担)。雇用保険に一定の期間入っていた人は、指定された講座の費用の一部が戻る教育訓練給付も使えます。どちらも条件があるので、辞める前にハローワークで確かめてください。

職業訓練を受けると、月10万円がもらえますか?

だれでももらえるわけではありません。月10万円の給付金は求職者支援制度のもので、雇用保険を受給できない人が対象です。本人の収入が月8万円以下、世帯全体の収入が月30万円以下などの条件があります。雇用保険を受給できる人は、公共職業訓練を受けながら基本手当などを受ける形になります。

この記事は、保育士を辞めることを勧めていますか?

勧めていません。続けることも、園を変えることも、仕事を変えることも、決めるのはあなたです。この記事は、仕事を変えたいと考えたときに、辞める前に確かめられる公的な数字と制度を示します。

更新履歴

2026年10月11日:東京都「令和4年度東京都保育士実態調査」の就業継続の意向・現在の就業状況・復職の希望条件、厚生労働省のハロートレーニング・求職者支援制度・教育訓練給付金・職業情報提供サイト・キャリア形成・リスキリング支援センターの案内、登録事務処理センターの登録に関するQ&A、児童福祉法を確認して公開。行き先の分け方の表、東京都の調査の表、訓練と給付の表を掲載。