「保育士は離職率が高い」と聞いて、不安になった人もいると思います。このページでは、保育士の離職率を国の統計の人数から計算し、数字の読み方と、応募する園ごとに退職の状況を確かめる方法をまとめます。離職率は編集部の計算で、表4は編集部の整理です。
保育士の離職率は何%?全体と公営・私営の値
保育士の離職率は、常勤の保育士で7.3%です。1年間に退職した人の数を、その期間の終わりに働いていた人の数で割りました。
| 表1 区分 | 常勤の保育士(2024年10月1日) | 1年間の退職者(2023年10月〜2024年9月) | 離職率(編集部の計算) |
|---|---|---|---|
| 全体 | 313,089人 | 22,895人 | 7.3% |
| 公営の園 | 84,345人 | 3,271人 | 3.9% |
| 私営の園 | 228,744人 | 19,625人 | 8.6% |
出典:厚生労働省「令和6年社会福祉施設等調査」の第15表-1(常勤保育士数)と第16表(保育士の採用・退職者数)。原表は政府統計の総合窓口(e-Stat)。調査の時点は2024年10月1日、公開日は2025年12月17日。取得日:2026年10月13日。離職率は、退職者数÷常勤の保育士数×100で、小数第2位を四捨五入しました。
表1を読むときに、先に知っておきたいことがあります。
- 対象の園: 保育所と、保育所型認定こども園です。幼保連携型認定こども園と、小規模保育などの事業所は入っていません。
- 対象の人: 常勤の保育士です。パートなどの非常勤は入っていません。
- 公営と私営: 園を運営している主体の区分です。
- 推計値: 保育所は、一部の園を選んで調べ、全体の数を推計しています。公営と私営の退職者を足すと22,896人で、全体の数と1人ずれるのは、推計の端数のためです。
- 退職の理由: この表では分かりません。定年や転居による退職も、転職による退職も、同じ1人として数えられています。
同じ1年間に採用された常勤の保育士は28,825人で、退職者より多い数でした。
国が資料で示した保育士の離職率
厚生労働省は、2020年8月の検討会の資料で、保育士の離職率を次のように示しています。
- 全体:9.3%(勤務者407,287人、退職者37,716人)
- 公営:5.9%
- 私営:10.7%
平成29年(2017年)10月1日時点の、常勤の保育士の値です。同じ社会福祉施設等調査をもとに、回収率を100%に置き直して集計した数字で、表1とは集計の方法が違います。同じ2017年を表1と同じ式で計算すると9.1%で、近い値になります(表2)。9.3%と7.3%をつないで「2ポイント下がった」と読むことはできません。
出典:厚生労働省「保育士の現状と主な取組」(保育の現場・職業の魅力向上検討会 第5回 参考資料1、2020年8月24日)23ページ。厚生労働省のサイトの元のファイルは開けなくなっているため、保存された写し(インターネットアーカイブ、2022年12月9日の保存)で確認しました。取得日:2026年10月13日。
保育士の離職率は上がっている?2017年からの推移
保育士の離職率は、同じ式で計算すると、2017年の9.1%から2024年の7.3%の間で動いています。公営は下がる傾向で、私営は10%前後が続いたあと、2024年に8.6%になりました。
| 表2 調査の年(10月1日) | 全体 | 公営の園 | 私営の園 |
|---|---|---|---|
| 2017年 | 9.1% | 5.8% | 10.7% |
| 2018年 | 9.0% | 5.5% | 10.7% |
| 2019年 | 8.4% | 5.2% | 9.7% |
| 2020年 | 8.5% | 4.4% | 10.2% |
| 2021年 | 7.9% | 4.0% | 9.5% |
| 2022年 | 8.5% | 3.6% | 10.4% |
| 2023年 | 8.2% | 4.0% | 9.8% |
| 2024年 | 7.3% | 3.9% | 8.6% |
出典:厚生労働省「社会福祉施設等調査」の平成29年から令和6年までの原表(e-Stat)。各年の、保育所と保育所型認定こども園の常勤保育士数と、常勤の保育士の退職者数から、編集部が表1と同じ式で計算しました。取得日:2026年10月13日。
2024年の値は、前の年より0.9ポイント低くなっています。ただし、この年は分母の常勤の保育士の数も、前の年の337,751人から313,089人に減っています。実際の変化なのか、園を選んで調べる推計のぶれなのかは、この表からは分かりません。1年だけの動きで「離職が減った」と決めず、次の年の値とあわせて見てください。
保育士の離職率は、ほかの仕事と比べて高い?
保育士の離職率がほかの仕事より高いか低いかは、同じ定義で比べられる統計がないため、言い切れません。全産業の離職率としてよく使われる数字は、割り算の分母と対象が、表1と違います。
| 表3 数字 | 値 | 期間 | 割る数(分母) | 対象 |
|---|---|---|---|---|
| 保育士の離職率(表1) | 7.3% | 2023年10月〜2024年9月 | 期間の終わり(2024年10月1日)の人数 | 保育所・保育所型認定こども園の、常勤の保育士 |
| 全産業の離職率 | 13.7% | 2025年の1年間 | 年の初め(1月1日)の人数 | 常用労働者が5人以上の事業所で働く、常用労働者 |
| 全産業・一般労働者 | 11.4% | 同上 | 同上 | 上のうち、パートタイム労働者を除く人 |
| 全産業・パートタイム労働者 | 19.9% | 同上 | 同上 | 上のうち、パートタイム労働者 |
出典:厚生労働省「令和7年雇用動向調査結果の概況」の「入職と離職の推移」表1と、用語の説明(離職率=離職者数÷1月1日現在の常用労働者数×100)。公表日は2026年8月31日。取得日:2026年10月13日。
表3の数字を並べると、保育士のほうが低く見えます。ただ、定義が3つ違います。
- 分母: 保育士は期間の終わりの人数、全産業は期間の初めの人数で割っています。
- 対象: 保育士は職種の数字、全産業は事業所で働く人全体の数字です。全産業には、保育所などで働く人も含まれます。
- 働き方: 保育士は園が決めた勤務時間のすべてを働く常勤、全産業の一般労働者はパートタイム以外の常用労働者で、区分のしかたが違います。
勤続年数で見るとどうか
離職率とは別の数字として、勤続年数があります。厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査では、次のとおりです。
- 保育士(男女計):平均の年齢40.3歳、勤続年数9.1年
- 一般労働者の全体(男女計):平均の年齢44.4歳、勤続年数12.7年
- 一般労働者の全体(女性):平均の年齢43.2歳、勤続年数10.4年
保育士の勤続年数は、全体の平均より短い値です。ただし、平均の年齢も保育士のほうが低く、年齢の構成が違います。勤続年数は「いまの勤め先に入ってからの年数」なので、園を変えて保育の仕事を続けている人は、短く出ます。
出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」の職種第1表(保育士、企業規模10人以上)と、「結果の概況」第2表。2025年6月分。取得日:2026年10月13日。給料の数字は、保育士の給料の記事にまとめています。
保育士の離職率の数字を読むときの注意
保育士の離職率は、どの資料の、どの計算の数字かで、値が変わります。ほかのサイトや求人の説明で数字を見たときは、次の4つを確かめてください。
- いつの数字か。 9.3%は平成29年(2017年)時点の値です。この記事の7.3%は2024年の値です。
- だれの数字か。 常勤だけか、非常勤を含むか。保育所だけか、認定こども園や小規模保育を含むか。
- 何で割っているか。 期間の初めの人数か、終わりの人数か。
- 平均か、その園の数字か。 全国の平均は、応募する園の数字ではありません。公営と私営で差があるように、園によって大きく違います。
離職率が低い園が、働きやすい園とは限りません。小さな園では、1人の退職で率が大きく動きます。常勤が10人の園で1人が退職すると、それだけで10%です。率だけで決めず、園ごとの確かめ方の人数と、退職の理由をあわせて見ます。
保育士が退職を考える理由の調査は、保育士を辞めたいときの記事と、保育士はやめとけ?の記事にまとめています。
保育士の離職率を、応募する園ごとに確かめる方法
保育士の離職率を園ごとに一覧で見られる公的なサイトは、確認した範囲ではありません。応募する園の状況は、次の4つの方法で確かめます。
| 表4 方法 | 分かること | 気をつけること |
|---|---|---|
| 見学・面接でたずねる | この1年に退職した常勤の人数、いまの常勤の人数、勤続年数の長い人がどのくらいいるか | 園に答える義務はない。答えてもらえた人数で、表1と同じ式の計算ができる |
| ここdeサーチで見る | 園ごとの、職員の人数(常勤・非常勤)、経験年数、モデル給与など | 退職者数や離職率の項目はない。空欄の園もある |
| 新卒の募集で、情報の提供を求める | 過去3年度の新卒の採用者数と離職者数、平均の勤続年数、研修、残業の時間、有給休暇の日数など | 新卒などの募集が対象。3つの区分からそれぞれ1つ以上を出す決まりで、離職者数が出るとは限らない |
| 人材サービス総合サイトで見る | 転職エージェントなどの職業紹介事業者ごとの、就職した人の数と、そのうち6か月以内に離職した人の数 | 園ごとの数字ではなく、紹介した会社ごとの数字 |
出典:青少年の雇用の促進等に関する法律 第13条、同法施行規則 第3条・第4条(e-Gov法令検索)。厚生労働省・都道府県労働局のリーフレット「有料職業紹介事業者を利用される求人事業主の皆さまへ」2ページ(求人を出す側に向けた案内)。ここdeサーチの施設の詳細の画面(1つの施設で項目を確認)。取得日:2026年10月13日。表4の分け方は、編集部の整理です。
退職者数を見学・面接でたずねる聞き方
人数でたずねると、園も答えやすくなります。次の3つは、編集部が作った聞き方の例です。
- 「この1年で、常勤の保育士は何人退職されましたか。新しく入った方は何人ですか」
- 「いま働いている常勤の保育士は何人で、5年以上勤めている方は何人くらいですか」
- 「昨年度、年度の途中で担任が替わったクラスはありましたか」
退職した人数を、いまの常勤の人数で割ると、表1と同じ式の離職率になります。たとえば、常勤が20人で、1年に2人が退職していれば10%です。人数とあわせて、退職の理由(定年、転居、出産など)も聞けると、数字の意味が分かります。見学と面接で確かめるほかの項目は、見学・面接で聞くことの表にまとめています。
新卒の募集で、園ごとに求められる情報
新卒などを対象にした募集では、応募する人や応募しようとする人が求めると、募集する側は「青少年雇用情報」を提供しなければなりません(青少年の雇用の促進等に関する法律 第13条第2項)。情報は、次の3つの区分に分かれています。
- 募集・採用の状況: 過去3年度の新卒などの採用者数と離職者数、男女別の採用者数、平均の勤続年数
- 能力の開発: 研修の有無と内容、相談に乗る担当者をつける制度の有無など
- 職場への定着: 月の平均の残業の時間、有給休暇の平均の取得日数、育児休業の取得の状況など
募集する側は、3つの区分のそれぞれから1つ以上を提供します。どの項目を出すかは募集する側が選べるので、離職者数を知りたいときは、その項目を名指しで求めます。求めるときは、氏名、連絡先、学校名と卒業の年月などを、メールや書面で伝える決まりです。
園ごとに公表されている情報で見る
ここdeサーチは、園ごとの職員の人数や経験年数を見られる、情報公表のサイトです。退職者数の項目はありませんが、経験年数の長い職員がいるかどうかは手がかりになります。見方は、応募前にここdeサーチで見る項目にまとめています。
転職エージェントを使うときは、人材サービス総合サイトで、その会社が紹介した人の数と、6か月以内に離職した人の数を見られます。園ごとの数字ではありませんが、相談先を選ぶときの材料になります。相談先ごとの違いは、保育士の転職エージェントの比較にまとめています。
保育士の離職率について、この記事では分からないこと
- 園ごとの離職率: 公表されていません。表4の方法で、自分で確かめてください。
- 新卒で入った保育士が、3年以内に辞める割合: 保育士だけを取り出した数字を確認できていないため、載せていません。
- 非常勤の保育士の離職率: 割る数にあたる人数を同じ形でそろえられないため、計算していません。
- 幼保連携型認定こども園・小規模保育の離職率: 表1・表2の対象に入っていません。
- 都道府県ごとの離職率: 載せていません。
- 退職の理由: 社会福祉施設等調査には、理由の項目がありません。
保育士の離職率でよくある質問
保育士の離職率は何%ですか?
厚生労働省の令和6年社会福祉施設等調査の人数から計算すると、常勤の保育士で7.3%です(2023年10月から2024年9月までの退職者22,895人÷2024年10月1日の常勤保育士313,089人)。公営の園は3.9%、私営の園は8.6%でした。編集部の計算で、国が発表した率ではありません。
この記事の7.3%は、国が発表した数字ですか?
いいえ。国が公表している採用者数・退職者数と常勤保育士数から、編集部が計算した値です。厚生労働省が2020年8月の検討会の資料で示した離職率は9.3%(平成29年時点、常勤のみ。公営5.9%、私営10.7%)で、回収率を100%に置き直した集計値です。集計の方法が違うので、2つを直接つないで「下がった」とは言えません。
保育士の離職率は、ほかの仕事より高いですか?
同じ定義で比べられる統計がないので、高い・低いは言い切れません。厚生労働省の令和7年雇用動向調査では、全産業の離職率は13.7%(一般労働者11.4%、パートタイム労働者19.9%)です。この調査は年の初めの人数で割り、保育士の7.3%は期間の終わりの人数で割っています。対象の事業所も違います。
私営の保育園は、離職率が高いのですか?
統計の平均では、私営8.6%、公営3.9%で、私営のほうが高い値です(2024年、常勤)。ただし、これは全国の平均で、園ごとの値ではありません。公営・私営は、園を運営している主体の区分です。応募する園の状況は、見学や面接で人数をたずねて確かめます。
応募する園の離職率は、どこで調べられますか?
園ごとの離職率を一覧で見られる公的なサイトは、確認した範囲ではありません。見学や面接で、この1年に退職した常勤の人数と、いまの常勤の人数をたずねると、同じ式で計算できます。新卒の募集では、法律にもとづいて、過去3年度の採用者数と離職者数などの情報を求めることができます。
更新履歴
2026年10月14日:厚生労働省「社会福祉施設等調査」の平成29年から令和6年までの原表(常勤保育士数、採用・退職者数)、厚生労働省「保育士の現状と主な取組」(2020年8月)、「令和7年雇用動向調査結果の概況」、「令和7年賃金構造基本統計調査」、青少年の雇用の促進等に関する法律と施行規則、人材サービス総合サイトの案内を確認して公開。離職率の表、推移の表、定義の違いの表、園ごとの確かめ方の表を掲載。
