「保育士はやめとけ」と言われたり、検索で見かけたりすると、目指してよいのか、続けてよいのか迷います。このページでは、「やめとけ」の理由に挙がりやすい給料・仕事量・残業・休み・人間関係を、国の統計と保育士への調査で確かめます。やめたほうがよいかどうかは判定しません。表2と表3は編集部の整理です。
保育士はやめとけ、と言われる理由を調査で確かめる
保育士はやめとけ、と言われる理由を、実際に退職を考えている保育士の回答で確かめます。東京都と、国の補助事業の2つの調査があります。
| 表1 調査 | 退職を考えている理由の上位(複数回答) | 働き続けたい人の割合 |
|---|---|---|
| 東京都の調査(2022年実施。東京都に保育士登録をした人) | 給料が安い 61.6%/仕事量が多い 54.0%/労働時間が長い 35.4%/職場の人間関係 30.1%(n=2,399) | 今後も保育士として働き続けたい 78.7%(n=11,277) |
| 国の補助事業の調査(2025年12月〜2026年1月実施。全国の保育所等を通じたWeb中心の調査) | 給与がよくないため 25.2%/業務量が多く大変なため 25.2%/保育士1人当たりの負担が大きいため 22.1%(n=3,065) | 今後も保育士として働き続けたい 80.1%(n=15,501) |
出典:東京都福祉局「令和4年度東京都保育士実態調査結果(報告書)」(調査の実施は2022年7月25日〜8月14日。ページの更新日は2023年4月13日)、三菱UFJリサーチ&コンサルティング「保育士等の意識及び業務負担軽減に関する調査研究 報告書」(令和7年度子ども・子育て支援等推進調査研究事業。公表日は2026年4月23日)。取得日:2026年10月7日。
表1から分かることが2つあります。
- 「やめとけ」の理由に挙がるものは、調査でも上位です。 給料と仕事量は、2つの調査のどちらでも、退職を考える理由のいちばん上にあります。
- それでも、続けたい人のほうが多い。 いま保育士として働いている人のうち、働き続けたいと答えた人は、2つの調査でどちらも約8割でした。
2つの調査は、対象も質問も違います。どちらも無作為に選んだ調査ではなく、全国の保育士の割合を推計したものではありません。辞めたい理由の整理と相談先は、保育士を辞めたいときの相談先の記事にあります。
保育士はやめとけ、は給料・残業・休みの統計でも言える?
保育士はやめとけ、の理由に挙がる給料・残業・休みを、国の統計の値と、読むときの注意に分けて並べます。
| 表2 項目 | 統計の値 | 読むときの注意 | 詳しい記事 |
|---|---|---|---|
| 給料 | 年収換算で約428万円(月例給与28万5,700円の12か月分と、年間賞与など84万7,900円の合計) | 一般労働者・企業規模10人以上の平均から編集部が計算した額。実際の年収の平均ではなく、入職1年目の見込みにもできない | 保育士の給料の記事 |
| 残業 | 月3時間(所定内の労働時間は月163時間) | 事業所が報告した2025年6月の1か月分。行事の多い月や年度末の値ではない | 保育士の残業の記事 |
| 残業(働く人への調査) | 正規職員の1日の平均的な勤務時間(残業を含む)が8時間を超える 66.6% | 働く人に直接たずねたWeb中心の調査。上の統計とは調べ方が違う | 同上 |
| 休み | 年間休日は平均114.0日、年次有給休暇の取得率は68.4% | 保育士だけの統計ではなく、病院や介護を含む「医療,福祉」の値 | 保育士の休みの記事 |
| 書類などの時間 | 子どもから離れて事務をする時間が「0分」 34.5% | 働く人へのWeb中心の調査で、最も多かった回答 | 保育士の持ち帰り仕事の記事 |
出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」(e-Stat 職種第1表。対象は2025年6月分、賞与などは原則2024年。公開日2026年3月24日)、厚生労働省「令和7年就労条件総合調査」(年間休日はe-Stat 第4表の「医療,福祉」の行、公開日2026年3月13日。年次有給休暇の取得率は結果の概況の産業別の表、公表日2025年12月19日)、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの上の報告書。取得日:2026年10月7日。
表2の数字は、それぞれの記事で原表と照らし合わせたものです。読むときに大事な点が2つあります。
- 平均は、自分が働く園の値ではありません。 給料も残業も休みも、園の運営主体、地域、雇用形態で変わります。
- 統計と、働く人の実感がずれる項目があります。 残業は、事業所の報告では月3時間ですが、働く人への調査では、1日8時間を超えて働くという回答が6割を超えています。
保育士はやめとけ、かどうかは園で変わる:応募前に確かめる質問
保育士はやめとけ、と言われる理由の多くは、園によって違う条件です。応募する前や面接で確かめる質問を、このサイトの記事にまとめています。
| 表3 理由 | 応募前・面接で確かめること | 使える質問表・照合表 |
|---|---|---|
| 給料が安い | 基本給・手当・処遇改善分の内訳、昇給の条件、賞与の実績 | 給料の照合表 |
| 仕事量が多い・残業が長い | 残業の記録方法と実績、行事のある月の実績 | 残業の記事の4問 |
| 書類や準備を家でしている | 書類を書く時間が勤務の中にあるか、持ち帰りの決まり | 持ち帰り仕事の記事の8問 |
| 休みが取れない | 年間休日、週休2日制の中身、有給休暇の取り方 | 休みの記事の8問 |
| 職場の人間関係 | 相談の体制、職員の分担の決め方 | 人間関係の記事の5問 |
| 保護者対応が大変 | 保護者対応を一人で抱えない体制があるか | 保護者対応の記事の7問 |
求人票・面接・労働条件通知書の3つの時点で同じ項目を見比べる方法は、転職の失敗を防ぐ照合表にあります。応募先に直接聞きにくい条件は、紹介会社に確認を頼む方法もあります。頼めることは会社で違うので、保育士の転職エージェントの比較で確かめてください。
保育士はやめとけ、と言われて迷うときの相談先
保育士はやめとけ、と言われて迷うときは、立場に合う相談先があります。
- これから保育士を目指す人、資格はあるが働いていない人: 都道府県は、保育士・保育所支援センターの機能を担う体制を整えることになっています(児童福祉法第18条の24)。こども家庭庁は、センターが求人・求職などの悩みや相談のサポートを行っていると案内しています(保育士・保育所支援センターやハローワークなどの連絡先)。支援の内容はセンターごとに違い、センターを置いていない自治体もあります。資格を活かせる職場の種類は、保育士資格を活かせる仕事の記事にあります。
- いま保育士として働いていて、辞めるか迷っている人: 今の職場を変えたいのか、保育の仕事から離れたいのかを分けると、相談先が決めやすくなります。窓口ごとにできることは、保育士を辞めたいときの相談先の記事にまとめています。
- 体や心の不調がある人: この記事は、医療の助言をしていません。体調のことは、医療機関に相談してください。
保育士はやめとけ、について、この記事では分からないこと
保育士はやめとけ、という声について、この記事で答えられないことを書いておきます。
- あなたが保育士に向いているかどうか: 判定できる公的な資料がなく、判断していません。
- やめたほうがよいか、続けたほうがよいか: この記事は勧めも止めもしません。
- 全国の保育士の割合: 表1の2つの調査は、無作為に選んだ調査ではありません。
- あなたが働く園、応募する園の給料・残業・休み: 表2は平均や報告値です。求人票と労働条件通知書で確かめてください。
- 公立の園の条件: 表2の統計は、民営の事業所・企業が対象です。公立の園の給与は、応募する自治体の採用案内と給与条例で確かめます。入口は保育士が公務員になるにはの記事にあります。
保育士は「やめとけ」でよくある質問
「保育士はやめとけ」と言われるのは、なぜですか?
この記事で確かめた調査では、退職を考えている保育士が挙げる理由は、給料の安さと仕事量の多さが上位でした(東京都の調査で「給料が安い」61.6%、「仕事量が多い」54.0%。複数回答)。一方で、同じ調査で、いま働いている保育士の78.7%は「今後も保育士として働き続けたい」と答えています。
保育士の給料は、統計ではいくらですか?
厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査から計算した年収換算額は約428万円です(一般労働者・企業規模10人以上。2025年6月の月例給与28万5,700円の12か月分と、年間賞与など84万7,900円の合計)。編集部の計算で、実際の年収の平均ではありません。園ごとの条件は、求人票と労働条件通知書で確かめます。
保育士の残業は、本当に少ないのですか?
国の統計では月3時間(2025年6月分)ですが、事業所が報告した所定外の時間です。保育士に直接たずねた調査では、正規職員の1日の平均的な勤務時間(残業を含む)が8時間を超えるという回答が66.6%でした。2つは調べ方が違うので、応募先の記録方法と実績を確かめるのが確実です。
保育士を目指すか迷っています。誰に相談できますか?
都道府県などが設ける保育士・保育所支援センターでは、保育の仕事の相談ができます(支援の内容はセンターごとに違います)。すでに働いていて辞めるか迷っている場合の相談先は、保育士を辞めたいときの記事にまとめています。
この記事は、保育士に向いているかどうかを判定しますか?
判定しません。向き・不向きを判定できる公的な資料はなく、この記事は、統計と調査の数字と、園ごとの違いの確かめ方だけを扱っています。
更新履歴
2026年10月7日:東京都「令和4年度東京都保育士実態調査」、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの調査報告書(2026年4月公表)、厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」「令和7年就労条件総合調査」を確認して公開。理由ごとの統計の表と、園ごとの違いを確かめる表を掲載。
